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2016年9月 2日 (金)

『星野道夫の旅』写真展

 アラスカの自然、野生動物などを18年に渡って撮影し、ヒグマに襲われて43年の生涯を閉じた写真家・星野道夫さん。その没後20年の特別展に出かけた。私の通う写真講座の安島先生によれば、「星野さんと言葉を交わしたことがありますが、写真家としてはもちろん、お人柄も立派な素晴らしい方でした」とのこと。

 会場には、大小の作品のパネルと、所々に星野氏の著作から抜粋したメッセージが掲げられている。葉書大くらいのポジフィルムをずらりと並べたショーケースも。また、直径5mほどの円形の小部屋があって、ホッキョクグマ、ムース、ヒグマなどの写真が実物大かと思われるほど大きく引き伸ばされて、床から天井近くまで、湾曲した内壁面にぐるりと貼ってある。キャプションなし、360度動物に囲まれて「感じる」体験をさせてくれた。

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 微笑ましい動物写真の前では「かわいい!」、オーロラ写真の前では「きれい!」の歓声が聞こえる。確かにそうだが、そういった安易な形容詞だけでは申し訳なくなる。息をのむような、肩を揺さぶられるような、じっと問いかけられるような写真が、次々に現れる。
 例えば、横位置の、大半は夕焼け色の空で、下のほうに海の水位があって、その左端近くにクジラの尾がシルエットのように水しぶきを飛ばしている写真。水面下のクジラの姿、表情や、水以外は音を立てない静けさや、その日一日の出来事など、イメージのドラマがゆっくりと広がっていく。夕暮れの海をすすむザトウクジラを、こんな1枚に捉えてくれたなんて。しばらく見入って涙が出そうだった。(「没後20年 特別展 星野道夫の旅」 8月24日~9月5日 松屋銀座にて開催)

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