朗読×オペラ「椿」

2016年6月18日 (土)

『フィガロの結婚』

 モーツァルトのオペラ『フィガロの結婚』(Grazie opera主催)を見に(聴きに)行った。昨年末の朗読オペラ『椿』で、ヴィオレッタとして歌ってくださった大森麗さんがスザンナ役で出演、演出助手だった川島慶子さんが演出を手掛けると聞いてのこと。

 ストーリーは、登場人物が騙し合ったり、入れ替わったり、ふりをしたり…とややこしいのだが、演出の工夫や出演者の表現力のおかげで、わかりやすい。なによりモーツァルトの「小難しいことは抜きに喜劇を楽しむ」曲調に引き込まれた3時間だった。06181

 舞台に立つ大森さんを観客として見たのは初めて。伸びやかな声と豊かな表情で、伯爵から言い寄られる美しい侍女を好演、周囲への気配りを欠かさない彼女の人柄が、エプロン姿のスザンナから滲み出ていた。06182

 たまたま、昨日今日と〝声の力〟を感じるイベントが続き、大いに刺激を受けた。声を鍛えている人って、〝人間力〟の可能性を信じさせてくれる。

2016年4月27日 (水)

「川柳展望」にエッセイ

  全国に同人をもつ川柳展望社に入会して6年目になる。
 主宰は大阪の天根夢草氏。関西のユーモアセンスに溢れ、さぞ女性ファンが多いであろう紳士である。応募句に主宰がコメントや助言を書き込んで送り返してくださることや、季刊誌には入選句だけでなく、鑑賞文、書評、映画評など読み物のページが多いことも「川柳展望」の特長だろう。
 最新号(165号)の「1000字の発言」コーナーに、拙文を載せていただいた。昨年末、公演した朗読オペラ「椿」(ヴェルディのオペラ「椿姫」の舞台を江戸に置き換えて朗読劇に脚色し、アリアと組み合わせて「朗読オペラ」とした)について書いたものである。

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 厚かましくてすみませんが、掲載文のラスト部分をここにも紹介します。

「…脚本を書きながら、川柳に何度も感謝した。人間ドラマの宝庫なので、誌上で皆さんの川柳を読むうちに台詞のタネが蓄積されているのだ。そして十二月の三回の公演には、川柳を通して知り合った方々が大勢来てくださり、演者の力を引き出すよいお客様になってくださった。今回は、朗読オペラの新しさや、舞台を江戸にした珍しさを評価していただいたと思う。同じところに留まることなく、次の創作を目指したい。」

2016年1月24日 (日)

「椿」再び…

 12月に公演した朗読オペラ「椿」を、スタッフの金曽くんがビデオ撮影し、パッケージも立派にDVDを作成してくれた。今日はその上映会で、上野のライブスタジオに関係者が集合、ソファーに座って飲食付きで大画面を見るという、実にハッピーなひとときを過ごした。

 「椿」はどういう舞台だったのか。出演者同士は後ろ姿や横顔しか見えないから、お互いのことを知らないのである。「恋敵の男たちはこんな形相でにらみ合っていたんだ」「オペラの二人はこのとき抱き合っていたのね」等々、次々に発見するのは心が躍った。思わず台詞が口をついてその場で再演技、画面とコラボ(?)して盛り上がるという場面もあった。

 公演をいっしょにつくってきた皆さんと再会、こもごも感想を聞き合う中で、直後の打上げの場とは違った検証がなされ、反省点、めざす方向など、次につながる話題が展開したのも収穫だった。

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2016年1月10日 (日)

オペラ「椿姫」を鑑賞

 町田イタリア歌劇団による新春公演「ラ・トラヴィアータ~椿姫~」を観に行った。演出は、先月朗読オペラ「椿」で演出助手をつとめてくれた川島慶子さん。〝オペラを愛してやまない〟と小柄な体全身で語っているような人である。

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 会場は160席ほど。舞台のバックがスクリーンになっていて、場面の設えや日本語字幕が映し出される。置かれたテーブルや椅子など、小道具は会場近くのカフェの協力だとか。

 中央の2列目に座り、登場人物の動きはもちろん、指揮者の楽譜も、舞台左袖のピアニストの表情も、幕間のセット転換作業も、実によく見えて、興味深い2時間余だった。
 当たり前だが、オペラでは最初から最後までずっと音楽が流れていて、歌手が芝居をして、まさしく「歌の劇」だった。坐っても抱き合っても倒れても、どんな姿勢でも素晴らしい歌声が出せることには、ほとほと感心した。

 「椿」の脚本を書いたおかげで、ストーリーはよく知っている。音楽に集中して楽しめ、あらためて江戸版「椿」との共通点、相違点を確認するのも一興だった。一つの作品の解釈、演出、アレンジなど、表現の方法は無限に生まれるものなのだろう。「椿姫」のような名作中の名作は、殊にそれを誘っているのを感じた。

2015年12月18日 (金)

「椿」こぼれ話(5) お客様

 「椿」の公演は、ありがたいことに3回とも、あたたかく熱心なお客様が会場を埋めてくださいました。椿さんが苦渋の決断をする場面など、まさに水を打ったように静まり返って、ホール全体が一つになった気がしたものです。アリアのたびに惜しみない拍手をくださり、歌声もますます伸びやかになりました。出演者、スタッフが頑張れたのは、よい雰囲気をつくってくださったお客様のおかげです。

 お帰りの前にお願いしたアンケートにも、8割の方が答えてくださいました。
 「オペラと朗読がよくマッチしていた」
 「和と洋のコラボが新鮮だった」
 「江戸が舞台だったので馴染めた」
 「椿姫を日本の舞台に置き換えたのが印象的」
 「オペラが日本語と重なってわかりやすかった」
 「物語の内容がわかったから歌曲が楽しめた」
等々、いただいたエールの一言一言が宝物です。本当にありがとうございました。

1218                  川柳の友人からプレゼントされた椿の便箋と一言箋

2015年12月16日 (水)

「椿」こぼれ話(4) 演出家さん

〝オペラをもとに名曲「乾杯の歌」「そは彼の人か」等々を織り込みながらストーリーは江戸情緒たっぷりの朗読劇でくりひろげる…〟とチラシに書いておきながら、どんな舞台になるのか、私には想像がつかなかった。朗読とオペラ、そして西洋と江戸を、うまく共存させるばかりか、そこに相乗効果を生じさせたのは、実に演出家・山下晃彦さんの成せるわざである。

 お芝居なら相手の顔を見て台詞を言う(この方が断然気持ちが込めやすい)ところを、朗読劇では客席の奥に相手がいるかのように正面を向いて言う。自分の中に思いをうんとたくさん持っていないと、声に反映されない。役者の思い(イメージ)を誘うのに演出家はあの手この手で伝える。

 「細胞がほどけたみたいな声を出して」
 「ここはもう心が破れちゃってるんだ」
 「前のめりで、見えない手で抱きしめるように言って」
 「シャッターおろすような硬さがほしい」
…等々、私の台本は、他の出演者にかけた山下さんの言葉の書き込みで黒くなっている。

 「想像力の厚みが台詞の厚みになる」…これはエッセイや川柳にも共通する。自分大の見聞や経験をどこまで広げられるかが、表現力の豊かさにつながるのだろう。

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 公演の後、友人が花束をくれた。いい勉強をさせてもらったね、と花に言われている気がする。

2015年12月15日 (火)

「椿」こぼれ話(3) 歌い手さん

 私もそうだが、オペラにはあまり馴染みがないという人が多いと思う。
 「椿」にご来場くださったお客様から、「間近でオペラの歌声を聴いたのは初めて」 「オペラが身近になった」 「オペラに興味が湧いた」 「わかりやすいオペラで楽しめた」等々のご感想をいただいて、嬉しい。 

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 ヴィオレッタの大森さんはお茶目な癒し系。アルフレードの朝倉さんはふだんの会話もテノールですてき。息もぴったりに、二人でオペラの魅力を紹介してくれた。

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 そして、パリの歌劇と江戸の朗読劇を合体できたのは、ピアニストの石塚さんのおかげ。バックに名曲が演奏される中、椿さんと仁右衛門さんが対立から同情へと変わっていく場面など、役者さんの気分も乗りに乗って、相乗効果を実感した。

2015年12月14日 (月)

「椿」こぼれ話(2) 役者さん

 朗読劇は本番も台本を読む。台詞を覚えるところから始まる芝居とは違い、稽古の期間に台詞を変えたくなった場合も、台本を書き直してもらえればOKだ。

 今回、一番変更(というより追加)箇所が多かったのは、主人公の恋敵・重蔵の台詞。私が重蔵に扮する杉山くんを見ているうちに、もっと語らせたくなってしまったのだ。
 杉山くんは楽しそうにあれこれキャラクター作りを試し、私が当初考えていた「コミカルな三枚目」よりもっと深い「勘違いな二枚目」を創り出してくれた。彼が登場すると客席に笑いが起こる。悲恋物語だからこそ、涙だけでなく笑いの要素は不可欠だった。

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 当日お客様にお渡しする印刷物として、「出演者からのメッセージ集」を用意した。皆さんよい原稿をくださって感謝している。開場前に座席にずらりとセットされたのを見て誇らしい気がした。

 杉山くんはメッセージ集に、次のように書いてくれた。
「僕は自分が演じる重蔵というキャラクターが大好きです。それは僕にとてもよく似ているから。また、重蔵が抱えている問題は、現代社会でも多くの人が持っているんじゃないかと思います。特に若い人は。たくさんの方に共感して貰える役ですので、この役に感情移入できなかったら完全に僕の責任です(笑)」

2015年12月13日 (日)

「椿」こぼれ話(1) 照明さん

 公演前日の9日に汐留ホールでリハーサルをした。ここで初めて体験したのが、ライトを浴びること。スポットライトだけでなく、舞台が赤になったり青になったり。

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 照明さんは、脚立に乗ってライトの向きを調整し、背景に余計な影が出ないように、ピアノの黒い面に映り込まないようにと、事前に入念チェック。
 本番中は、壁にある10近くの調光スイッチや、機材のレバーを二本の腕でカンペキに操作してくださった。

 本番30分前に入口を開けてお客様が席につく。
 本番寸前、舞台監督の「ハイ、始めます!」の合図に、明るかった会場がスーッと暗くなる。この瞬間の緊張感は忘れられない。

2015年12月12日 (土)

「椿」無事終了!

 一昨日、昨日と、朗読オペラ「椿」の本番が汐留ホールで行われました。お陰さまで公演は3回ともあたたかいお客様で満席となり、よい雰囲気の中、無事終了しました。
 お越しくださいました方々、応援してくださいました皆様、ありがとうございました。

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 この10日間、練習や当日の準備の追い込みで毎日目が回り、ブログをお休みしてしまいました。すみません。その間のことは、振り返るかたちで追ってお知らせします。