見たこと聞いたこと

2018年9月28日 (金)

3.11の記憶

 9月26日~28日、「7つの秘境・絶景を巡るミステリーツアー」に出かけた。東京駅に集合、とだけ事前に知らされ、あとは新幹線、バスでどこへ行くのかぎりぎりまでわからないという旅である。秘密を明かしてはいけないらしいので詳細は記さないが、東日本大震災の被災地が含まれていた。あれから7年半、今回印象に残った場所を紹介する。
 あちこちの建物に「津波浸水ライン」(青い線)を見た。「3.11の記憶」としてマークしてあるのだ。下の写真は宮古市浄土ヶ浜のレストハウスで、二階のあんな高い窓の上まで津波が押し寄せたことに、あらためて驚く。辺りは「三陸復興国立公園」とされている。
09272 海岸沿いの道を走っていると、10m近い高さの堤防が築かれて海の景色が見えない所もある。 地面を10m高くする、という工事も気が遠くなる内容だ。港という港に工事車両が入っている。
 2枚目の写真は陸前高田市の「奇跡の一本松」。観光名所の7万本もの松林が姿を消した中で、たった一本だけ残っていた。その後、海水による傷みで枯れてしまった一本松を鎮魂、希望、復興の象徴として保存することにし、これはカーボンで人工的な処理を加えて、再現させたモニュメントである。
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  地元のバスガイドさんでも「来るたびに道の状況が変わっていて驚く」という復興現場。一本松の人工的復元に一億円以上の費用がかかったと聞くが、遠くからでもこの松が見えることの意義に思いを馳せたい。

2018年9月24日 (月)

芳年の浮世絵展

  練馬区立美術館へ「芳年―激動の時代を生きた鬼才浮世絵師」を見に行った。 月岡芳年(つきおか・よしとし)、明治25年に53歳で他界。歌舞伎や講談で知られる刃傷沙汰の無惨絵をはじめ、幕末には実際に起きた血みどろの戦争をリアルに描いて注目を集めた。明治には北斎の画風も取り込み、歴史画、美人画、新聞の挿絵など広く活躍、最後の浮世絵師とも言われる。
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 ほぼB4サイズの紙を縦位置に横に3枚並べた「大判錦絵三枚続」が見応えがあり、有名なシーンが多いので興味も引く。例えば「義経記五條橋之図」は、左に扇を薙刀で受け止める目をむいた弁慶が、右に飛び上がった牛若が、それぞれの背景に山のシルエットが、画面中央には大きな満月が。表情もポーズも構図も、実に迫力があっておもしろい。紙を縦に並べた細長さで滝の高さをダイナミックに表したものもある。同じく縦長の「松竹梅湯嶋掛額」(八百屋お七)は、美術館の吹き抜けにも掲げられており(写真下)、左上から右下に大胆に配した梯子にかけた手の必死さ、江戸の炎を見る顔の哀しさ、襦袢の赤の見え方までもがドラマチックである。
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 開催は今日が最終日。会場の賑わいはいつも以上だったに違いない。

2018年9月11日 (火)

もう一つの9.11

 赤坂のライブビストロ「November 11th」へ、「テレジン もう蝶々はいない」のコンサートを見に(聞きに)行った。ヒットラーの時代にアウシュビッツへの中継地だったテレジンで、ユダヤ人の子らが描いた絵や詩を題材に、解説と語り(野村路子)、ギター(中村ヨシミツ)、歌(三原ミユキ・西山琴恵)の4人が悲惨な事実を表現する。奇跡的に生き残ったごく少数の人々から話を聞いた、生きているからには話しましょう、という話を聞いたからにはそれを伝えなくてはと思う、という野村さんのメッセージが溢れていた。
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 絵を描いている時だけ目を輝かせたという子どもたちの絵が、会場に10点ほど飾られていた。自由に飛べる蝶に、家族の様子を見てきてほしい、と話しかける詩も紹介された。

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 2011年9月11日、野村さんたちは、このテレジンの公演のために訪れたプラハで、ニューヨークのテロ事件を知った。差別や偏見や憎悪がもたらす悲劇で命を断たれた子どもたちの、「二度と繰り返さないで」の声を伝えようと日本からやって来たその日に、そんな事件が起こったのである。以来、9月11日にこのコンサートを続けようと努めてきたとか。私にとっても忘れられない9.11になった。

2018年9月 8日 (土)

ポルトガルの風景画展

 京橋のギャラリーへ、「ポルトガルスケッチ旅行作品展」を見に行った。エッセイクラブでお世話になっている雨宮久馬氏からご案内いただいたもので、講師をなさっているグループ恒例の水彩画展である。今回は12人が出品、何回か拝見してお名前を覚えている方の作品もあり、生徒さんといっても皆さんお上手でベテラン…と思っていたら、「今回初参加の方もいますよ、高齢の男性で…」と聞いてびっくりした。その方といい、今年米寿の雨宮氏といい、絵筆を持つ方の好奇心はかっこいい。
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 雨宮氏の作品から2点紹介させていただく。「アマランテの教会と橋」のタイトルで、左は「橋の下流より」、右は「橋の上流より」。描き手が少し移動して違った方角から捉えた作品を、並べて鑑賞するのは楽しい。どちらを先に描かれたのだろう、こういう対比の展示はよくなさるのかしら、今度お目にかかったらお訊ねしよう。

2018年9月 7日 (金)

親切なプリント屋さん

 川柳の句会報を印字製本するため、早稲田大学のエリアにある「早美舎」という店に初めて出かけた。学生さんがよく利用するのだろう、卒論の製本、文化祭のチラシ、オリジナルTシャツのプリント等々扱っており、店内は明るくてポップ。「おじさん」と「お兄さん」という年代の男性二人で、てきぱきと切り盛りしている。まず紙の種類、写真の読み込み具合など、親切に相談に乗ってくれて、機械をセットする。次に料金を支払うのだが、そもそも価格設定がお安く、料金の計算方法がわかりやすく、中綴じの製本代はおまけ(無料)、消費税込みというありがたさ。そして「30分もあればできますよ」といわれて、ちょっとその辺を散歩しているうちにめでたく会報70冊が仕上がったのだった。この気さくで誠実なお店は開業して46年だとか、多くの学生たちを応援し、学生でない私のような者にも頼りにされていくことだろう。
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2018年8月25日 (土)

ヘンな花火

 かつては、夏の週末といえば豊島園の打ち上げ花火だった。我が家から数kmしか離れていないから、10階のベランダからかなりの迫力で見え、数十分にわたってビール片手に心地よく見物したものだった。それが、経済的理由か、近隣住宅地への遠慮か、2004年を最後に姿を見せなくなった。ところが今夜、8時過ぎにドン!と音が聞こえたのだ。あわててベランダに出たけれど、ほんの数発見えただけで、あっけなく終了してしまった。撮影どころではなく、あまりにヘンな写真なので、画像処理のフィルターもかけて、思いっきりヘンな花火にした(お目汚しでごめんなさい)。
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2018年7月20日 (金)

落語で怪談

 近所のホールで月一度行われている寄席に、久しぶりに出かけた。この暑さだから怪談噺を聞かせてくれるかな、と期待したらずばり、二つ目で『お菊の皿』、真打で『野晒し』。いずれも幽霊モノだが、そこは落語、陽気で、威勢がよくて、そそっかしくて、「幽霊ったっていい女なんだろう? 会ってみてえじゃねえか」と前のめりになるのが笑える。「番町皿屋敷」のお菊はアイドルになって、10枚入りのはずが9枚しか入っていない〝お菊ちゃん煎餅〟が販売される。ここは演じ手の腕の見せ所で、春風亭小朝師匠はかつて、客からの差し入れを受け取るお菊に「〇〇のチョコレートケーキがいいの」と言わせ、当時の人気商品を紹介したものだ。『野晒し』は、向島で釣りをしていた浪人が葦原で人骨を見つけ、不憫に思って経文を唱える。すると夜中にその幽霊が恩返しにと訪ねてきて、これがめっぽう美人。それを知った隣人八五郎が自分もと釣りにでかけ、エサもつけずに骨を釣ろうと鼻歌まじりで釣り糸を振り回す。春風亭正朝師匠のこの一人芝居が秀逸、もう笑い転げて涙が出て、ハンカチが要るほどだった。
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 連日、前代未聞の「危険な暑さ」が続く。その状況は踏まえつつ、落語でなくてもちょいと暑さをかわしてみる。それもいいもんでございますよ、ねぇ。

2018年7月12日 (木)

映画『空飛ぶタイヤ』

 久しぶりに映画館に行って映画を見た。池井戸潤原作、長瀬智也主演の『空飛ぶタイヤ』である。主人公が社長を務める赤松運送会社のトラックのタイヤが、走行中に突然外れ、歩行者を直撃して死亡事故を起こす。原因は「整備不良」とされるが、担当者が規定以上の厳しさで任務に当たっていたのを知る社長には納得できない。過去にも似たような事故があったことから、構造上の欠陥、メーカーのリコール隠ぺいが見えてくる。大手企業、大銀行の圧力に泣き寝入りせざるを得なかった数多の弱小企業に代わって、赤松社長が戦い続ける。「初めてあんたの人間らしい言葉を聞いたよ」「俺はどこかで(人間の良心みたいなものを)信じてるんだ」の台詞が光る。家族や自社社員がどんな時も応援するだけでなく、メーカーにも銀行にも警察にも、現状をよしとしない勇気ある男たちがいて、それぞれ、目的遂行のために選んだ手段がおもしろかった。最後は、正義が守られ、胸のすく結末を迎える。それにしても、誰が演じているかで敵か味方か見当がついてしまった。俳優のイメージというのはおそろしいものだ。
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 不慮の事故で家族を失う。「運がわるかった」では受け止めきれない。そのとき自分だったらどうするだろう。岡山、広島、愛媛の豪雨による惨状に人災の部分はなかったか。胸がつぶれそうになる。

2018年6月19日 (火)

はとバス乗って吟行会

 川柳やまびこで吟行会。「はとバス東京めぐり&銀座でランチ・句会」という企画で、三社川柳会、川柳うえの、川柳のぞみなどご縁の深い皆さんと総勢35人、楽しい一日を過ごした。はとバスは屋根のないオープンバス。梅雨の晴れ間がありがたかった。10時出発で、東京駅→日比谷公園→霞が関→国会議事堂→虎ノ門ヒルズ→東京タワー→レインボーブリッジ→お台場→勝鬨橋→築地→歌舞伎座→銀座→東京駅 の1時間乗ったままコースである。
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 二階建てバスの高さと、真上を見上げられることにより、見慣れた東京もちがった顔に見える。東京タワーは美しい、誇らしい。四方からの撮影スポットがコースに入っていた。
06191  首都高速に乗って、レインボーブリッジを渡る。オリンピックの競技場や選手村、豊洲市場など、話題の建設現場も駆け足で眺めた。
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 勝鬨橋もダイナミックに景観を楽しめる
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 バスツアーを終えて築地「竹若」で昼食、その後歌舞伎座横の区民館で句会。本日の嘱目吟5句を作って提出。東京タワーを詠んだ句が多かったとか。私の入選作は「財務省はとバスからも黒く見え」「街路樹とハイタッチするバスツアー」
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 そのほか、宿題二題、席題一題の提出、披講もあり、めまぐるしくも充実した一日でした。

2018年6月 1日 (金)

想定外、想定以上

 今回のアメリカ旅行では、Eさん夫妻、Cさん夫妻と旧交を温め、ありがたい一週間を過ごすことができて感謝している。
 唯一の想定外は、現地時間での29日、トランプ大統領がナッシュビルを来訪したこと。Cさんが道路状況を上手く読んで混雑に巻き込まれないように街を案内してくれたので、さして影響はなかったが。30日の朝のこと、ホテルでローカルニュースを見ていたら、なんと空港で乗客が屋外へと避難しているところが映っている。警察犬が異常を嗅ぎ付け、爆弾かもしれないという。幸い1時間余りで間違いだったと判明したらしいが、自分たちも一日違いで空港に行くところだったから、ちょっと慌てた。異常事態の報道英語はホントに聞き取りにくい。
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 今回の旅で一つ贅沢をした。往復とも飛行機のビジネス席を利用したことである。待ち時間が少ない、空港のラウンジが使える、などの利点もあるが、一番いいのは座席が平らなベッド状になること。12時間を超えるフライトで思っていた以上に疲れ方が少ない、その価値をつくづく実感した。そしてほぼ個室状態のスペースで飲食付きの映画見放題!「ナミヤ雑貨店の奇跡」「三度目の殺人」(写真上)、「The Post」(写真下)等々、話題作をいくつも鑑賞して、愉快な非日常を満喫した。旅行という充電により、また明日からの日常と元気に向き合えそうだ。
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